●従業員代表を監査役に
ドイツの事例をちゃんと検討したのだろうか。
ドイツでは従業員数2000人以上の企業は共同決定法が適用され、監査役(ドイツでは取締役の選任権は監査役会にある)の半数は従業員・労働組合から選出されるが、監査役会会長は株主により選任された監査役員となることが多く、株主指名監査役の方が優位に立つ。
結果、執行権限としてはほぼ株主のコントロール下にあり、レイオフや精算時における労働者保護だけが目的となってしまっているため、レイオフはできず精算はできずさりとて救済に乗り出しても同じ現実が待っているため他の企業も手を出しにくい。さらにレイオフが難しいため共同決定法が適用される会社は非適用会社に比べて事業開始リスクが高い。
さて、日本で導入した場合にはどうなるのか。
そもそも監査役は執行権者の業務遂行を監督することが目的であり、利権を代表する政治家ではないのだが、従業員・組合の代表者が監査権を持って、労働分配率の引き上げ以外の目的をもって監査が可能なのか。
監査役に執行権が無い日本において、監査役に1人や2人送り込んだところで従業員にとって効果があがるわけでもなし、単に監査役会の機能が弱体化するだけでありガバナンスの強化には何の役にも立たない。
むしろ、監査役が大手を振って「うちの会社はこれだからだめなんだ!」とメディアに叫ぶ事の方が企業にとっては問題なのではないか。
もしそこまで読んで、「叫ばれないようにあの監査役の意見も容れよう」となることを期待しているのであればそれはそれでいかがなものかと思う。
●親子上場の禁止
資本市場の透明性確保や健全化というのは分かるが、親子上場禁止というのはどうなのだろうか。
ベンチャーにいた身としては割と身近な話なのですが、IPOがexitの一つの手段なのは事実。子会社といえどそれは同様。
新事業を育成して産業育成と内需拡大を図りたいのであれば、exitの方法を減らすことは起業家やシード期従業員のモチベーションを低下させるだけでなく、資本や自社にはない力を導入して事業の拡大を目指すことも難しくなる。
さらに、上場企業が出資して子会社が一定の段階まで行ったら子会社に時価で買い戻させろというのか?原資は?
確かに現在は親会社と少数株主では権利が平等ではない。しかし対策として上場禁止というのは早計に過ぎるのではないか。
親会社は上場時において普通株式を一定比率までしか保有してはならず、売出において比率調整を行うか議決権制限株式への転換を強制するなど方法はあるはずなのだが。
滅多にこの手のエントリは書かないことにしてるけど、今回のはあまりにもひどすぎる。
